フォトグラファー 古川貴浩のブログ

神戸在住のプロカメラマン 古川貴浩のブログ 写真のこと、機材のこと、撮影のこと。備忘録。

Z 8修理日記

12月、一瞬の油断が招いた「惨劇」

それは、昨年末の撮影中のことでした。

冬の澄んだ空気の中、シャッターを切る指先が少し悴んでいたのかもしれません。

ふとした拍子に、愛機の Nikon Z 8 が手元から滑り落ちました。

「ガツッ!」という、乾いた、それでいて重い音。

アスファルトの上に転がったZ 8を拾い上げる時、指先が震えていたのを覚えています。

「嘘だろ、頼む、動いてくれ……」

祈るような気持ちで電源を入れると、液晶は点灯し、AFも小気味よく合焦します。外観をサッと確認した限りでは、角に少し擦り傷がある程度。「さすがフラッグシップの遺伝子を継ぐZ 8、なんてタフなんだ!」と、その時は自分を納得させ、年末の過酷な撮影スケジュールをそのまま完走してしまいました。

見つけてしまった「小さなクラック」

落ち着いて愛機をメンテナンスしている時に、それを見つけてしまいました。

ボディの底部、衝撃を受けたであろう箇所に、光の加減でようやく見える程度の**小さな「ヒビ(クラック)」**が入っていたのです。

特にエラーが出るわけでもない。撮影データに異常があるわけでもない。

でも、一度見つけてしまうと、もうダメでした。

「このヒビから湿気が入ったら?」「衝撃でマウントの光軸が0.01mmでもズレていたら、Zマウントの超高画質が無駄になるのではないか?」

Z 8という、信頼で成り立つカメラだからこそ、疑念を抱えたままシャッターを切るのが苦痛になってしまったのです。私は意を決し、新年早々、大阪のニコンプラザへ足を運ぶことにしました。

ニコンプラザでの「7万円」の宣告

仕事始めで賑わうニコンプラザ。

受付で症状を伝え、落下させてしまったことを正直に告白しました。

窓口の担当者の方は非常に丁寧でしたが、提示された**「仮見積もり金額」**に、私は言葉を失いました。

「概算で、約7万円ほどかかる可能性があります」

「外装カバーの交換だけでなく、マウント部の歪みや、衝撃による基板ダメージが見つかれば、そのくらいは覚悟してください」とのこと。

 

重い足取りでセンターを後にし、大阪の街を歩きながら「買い替えたほうがいいのか? いや、まだ買ったばかりだし……」と、暗い気持ちで自分への「お年玉」ならぬ「大出費」を覚悟しました。

驚きの「スピード完了」と、予想外の結末

修理には通常2週間、部品の在庫次第ではそれ以上かかると言われていました。

ところが、預けてからわずか数日後のことです。

私のスマホに「修理完了のお知らせ」というメールが届きました。

「えっ、もう? もしかして、修理不能で返ってくるのか?」と不安になりながら、恐る恐る詳細を確認すると、そこには驚きの内容が記されていました。

最終的な修理費用:3万円台。

当初の見積もりの半額です。

慌ててニコンプラザへ受け取りに向かうと、担当者の方が笑顔で説明してくれました。

「分解点検の結果、内部の基板やマウントの精度には一切影響がありませんでした。今回は外装の割れたパーツの交換と、各部の精密点検・ピント調整、そしてセンサークリーニングのみで完了しております」

復活のZ 8、そして教訓

戻ってきたZ 8は、まるで新品のようにピカピカになっていました。

ヒビがあった場所は完璧に修復され、何より「プロの手によって中まで点検され、異常なし」とお墨付きをもらった安心感は、何物にも代えられません。

今回の件で痛感したことが3つあります。

  1. Z 8はやっぱり頑丈: あの衝撃で内部が無傷だったのは、設計の確かさの証明。

  2. 見積もり金額に怯えるな: ニコンのサービスセンターは、最悪を想定して高めに見積もるが、実際の作業は極めて誠実。

  3. 「違和感」は早めに解決する: 放置して腐食や二次故障を招くより、早めに修理するのが結局は一番安く済む。

3万円台という出費は確かに痛いですが、これを「最高の状態を維持するための授業料」と考えれば、安いもの……と言い聞かせています(笑)。

さあ、心機一転。ピカピカになった相棒をバッグに詰めて、2026年のベストショットを狙いにいこうと思います!

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